フランツ・カフカ『変身』(高橋義孝 訳)

 

変身 (新潮文庫)

変身 (新潮文庫)

 

 

ある朝、気がかりな夢から目をさますと、自分が一匹の巨大な虫に変わっているのを発見する男グレーゴル・ザムザ。なぜ、こんな異常な事態になってしまったのか…。謎は究明されぬまま、ふだんと変わらない、ありふれた日常がすぎていく。事実のみを冷静につたえる、まるでレポートのような文体が読者に与えた衝撃は、様ざまな解釈を呼び起こした。海外文学最高傑作のひとつ。

 

朝起きると巨大な虫になっていた男の物語。世界的にとても有名で評価の高い作品だ。この作品に関しては難解な考察や解釈も多いけれど、ユーモラスでありながら物悲しさを感じさせるストーリーは純粋に物語として読んでも十分に魅力的ではないだろうか。しかし、グレーゴルが変身した巨大な虫が表象しているものは結局なんだったのだろう?なぜこの物語はああいった結末を迎えたのだろう?時代背景やカフカ自身の思想も汲み取ってそんなことを考えてみるのもまた楽しいかもしれない。